メーカー志望の理系学生必見!OA機器業界の特徴や動向をご紹介します

2022年11月6日 更新

企業に対してコピー機などオフィスで使用する機器を販売するOA機器業界ですが、近年のペーパーレス化やリモートワークの普及によって業界を取り巻く環境は大きく変わっています。

そこで今回は、OA機器メーカーのビジネスモデル、業界の動向、仕事内容についてご紹介します。
OA機器業界に興味のある方や業界の全体像を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

OA機器業界について

OA機器業界とは

OAとはオフィス・オートメーション(Office Automation)の略語で、OA機器業界では企業に対して業務の効率化・自動化をする機器の製造、販売を行っています。
OA機器の具体例としては、コピー、スキャン、FAXなどの機能を一台で担う「複合機」や、電話、シュレッダー、コピー機、パソコンなどが挙げられます。

ビジネスモデル

OA機器業界では、代理店やメーカーの直売による販売、リースが主な販売形態です。
OA機器の中でも複合機業界のビジネスモデルは特徴的で、機器を販売しただけでは大きな利益が得られない価格設定となっています。

機器を販売した後にインクやトナーといった消耗品を継続的に販売することで、安定したランニング利益を出し続けることができます。

また、複合機の販売の他にも、マネージドプリントサービス(MPS)と呼ばれる、オフィス内の印刷コストを削減するために現状の分析、改善をする運用アウトソーシングサービスがあります。

具体的には、各機器の稼働率やオフィス内の導線を基に、最適な台数や配置場所の設計を行います。また、機器と消耗品の購入コストや保守コスト、故障時の対応をする人件費、設置スペースなど、印刷に関わるコストを総合的に考慮したうえで機器の選定をし、コストを削減します。

このように、複合機業界では機器や消耗品を販売するだけでなく、オフィスの印刷環境をトータルサポートすることで利益を上げるモデルに推移しているといえます。

OA機器業界の動向

ここでは、OA機器業界の動向として、業界に影響を与える社会の動きや、業界の今後についてご説明します。

ペーパーレス化

環境保全やコストカットのための資源削減や、DX化のために、各企業でペーパーレス化が進んでいます。
書類をクラウドに保存し、閲覧はPCやタブレット上で行うことで、市場全体の印刷枚数が減少し、OA機器業界の主力事業である複合機の売り上げに大きな影響が出ています。

この市場の動きに対応した製品として、複合機と連携できるクラウドサービスがあります。
クラウドと複合機が連携をすることで、複合機を操作しなくても各自の端末から印刷をすることができたり、逆に、各自の端末で編集していた資料をクラウド上に保存することで、複合機を操作して誰でも印刷をすることができます。

全ての企業が完全にペーパーレス化を実現できるわけではないため、OA機器メーカーはこのような、DX化と共存するための製品を作っていく必要があります。

リモートワーク化

新型コロナウイルスの影響によって企業のリモートワーク化が進み、OA機器需要が減少しています。一方でOA機器メーカーが個人向けに販売しているスキャナーやコピー機など、自宅用製品は需要があります。

リモートワーク化に対応した製品として、在宅勤務導入にあたって必要となるPCやルーター、勤怠管理システムなどがあります。

機器販売からトータルソリューションへ

OA機器業界では、オフィスで使用する機器を販売するだけでなく、リモートワーク製品の販売や、クラウドサービス等のシステム導入、MPSによるコスト低減など、企業の労働環境を整えるためのトータルソリューションを行う形に変わってきています。

OA機器の売り上げが頭打ちに近い状態のため、各社ともにこのようなOA機器の本体以外への取り組みが重要になっています。

仕事内容(職種)

ここまでOA機器業界の特徴として、ビジネスモデルと動向をご説明しました。
続いて、OA機器メーカーの職種の中から理系学生に関わりの深い「技術職」に絞ってご紹介します。

研究開発

研究開発職は、OA機器に関連する領域について基礎研究、技術開発を行う職種です。
具体的には、複合機の印刷性能を上げるための「色再現性の高いインク」や「均等にインク滴をうつインクジェット」の研究、スキャン性能を上げるための「自動調整を行う画像センサー」の研究など多岐にわたります。

研究領域への深い理解が必要な職種なため、採用条件に「修士、博士修了以上」が含まれている企業もあります。

設計開発

研究開発の研究成果や、市場の変化や動向を基に新製品の設計開発を行います。
既存の製品にない新たな価値を生み出す事や、既存の製品よりも低コスト・高品質な生産が行えるよう設計することが役割です。
この設計を基に生産が行われるため、顧客に提供する製品の詳細を決める重要な役割だといえます。

生産技術

生産ラインの設計や管理をして、高品質、低コスト、短納期の生産体系を作ることが役割です。
生産ラインへの人員・設備の配置や、加工技術の開発、IoTによる自動生産の導入など、生産工程の様々な技術に携わります。

生産技術に関する知識だけでなく、生産現場の作業員と連携を取り、現場から生産の課題を見つけることも求められています。

品質管理

生産されたものの品質を検査し、OA機器の品質を保証することが役割です。

検査のタイミングは大きく分けて3つあり、購入した材料や部品が入庫した際に「受入検査」をして、生産工程の途中で次の工程へ進んでいいかを確認するために「工程内検査」をして、最後に完成した製品が基準を満たしているか、不良品がないかを検査する「最終検査」をします。
そして、検査の中で不良品が見つかった場合は、再発防止のため生産ラインの改善をします。

知財管理

自社で研究開発した技術を守り、権利として活用するために、特許や商標などの知的財産を取得、管理します。
社内の技術者と相談し、研究の中で特に優れているポイントはどこなのか、技術の新規性をどのように発表するのかなど戦略を立てたうえで特許庁への申請を行います。

技術と法律の両方への知識が求められる職種です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はOA機器業界の特徴と、理系学生に関わりの深い技術職をご紹介しました。
OA機器業界は機器が普及しきっている状況に加え、ペーパーレス化やリモートワークの普及によって、市場規模の拡大が見込めない状況にあります。

こういった現状に対してOA機器メーカーは対策をしており、リモートワーク製品の販売や、クラウドサービス等のシステム導入、印刷コスト削減のためにオフィスの印刷環境をトータルサポートをするMPSなど、様々な取り組みがあります。

今後はこういったOA機器販売以外の部分の重要性が増すため、OA機器メーカーを志望する場合は、企業の採用サイトの事業内容の研究を一度することを推奨します。

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