電子機器や機械に欠かせない非鉄金属業界について理系学生向けに解説します!

2023年7月10日 更新

現代にはスマートフォンやパソコン、家電等の便利な電子機器に溢れています。これらの電子機器には電気伝導性の高い銅やモーター向けにネオジムなど様々な特性を持つ金属が利用されています。金属を扱う業界としては鉄と鉄以外の非鉄金属に分けられます。
本記事では電子機器や機械などに欠かせない非鉄金属業界について詳しく解説します。

非鉄金属業界の属する資源関連業界については「モノづくりの原点?様々な材料を社会に供給している資源業界とは」で解説しています。非鉄金属業界の他にも鉱業、鉄鋼、石油・天然ガスなど広く概要をご説明していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

非鉄金属業界とは

非鉄金属業界とは鉄以外の金属を取り扱う業界で、鉱石や不要となった家電等の金属(スクラップ)を取得し、アルミ、ニッケル、金などの非鉄金属に製錬した後、電材や機能材料等に加工し、各種メーカーに供給しています。

非鉄金属の取得は、非鉄金属の原料となる鉱石の採掘や、スクラップのリサイクルなどによって資源開発を行います。鉱石は国内では殆ど採掘されないため、海外企業からの輸入で非鉄金属の原料を確保しています。

鉄鋼が建材(構造材)や工具、機械部品等に使われるのに対し、非鉄金属は基本的に鉄鋼より高価なため、導電性や熱伝導性、耐熱性、耐食性、強度、重量などにおける鉄鋼より優れた特性が必要となる用途(電材、化学触媒、車体など)に使われます。

非鉄金属とは

金属とは、熱や電気の伝導性に優れ、展性・延性・金属光沢など金属の特性を持つ物質であり、ベースメタル、レアメタル、貴金属などの種類があります。
これらの金属のうち、鉄(鉄鋼)は汎用性や安価であることなどから金属生産量の8割を占めており、残り2割がその他の金属となります。

そのため、金属は鉄鋼と非鉄金属に分けられ、金属を扱う業界としては鉄鋼業界と非鉄金属業界に分類されます。
ベースメタル、レアメタル、貴金属のそれぞれについて説明します。

ベースメタル

ベースメタルとは、大量に生産・消費される、基礎となる金属です。卑金属、コモンメタルとも呼ばれることがあります。また、他の金属と比較して空気中に放置すると酸化しやすいという特徴を持ちます。
代表的なベースメタルには、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、鉛、スズなどがあります。

用途として、鉄は採掘量が多く、強度や扱いやすさから鋼鉄などの合金として生活の中で幅広く利用されます。

アルミニウムはベースメタルの中でも最も軽い元素で、航空機や自動車の製造に利用されます。

亜鉛は腐食しにくいため、防錆や防食用として、鉄鋼の自動車から船舶、橋梁、屋根など幅広く利用されます。

銅は高い電気伝導率と可鍛性から配管や電気配線に利用されます。

レアメタル

レアメタルとは、産出量が少ないが有用な金属資源のことです。レアメタルは31鉱種あり、その中の1鉱種にレアアースと呼ばれる鉱物があります。
レアアースは17種の希土類元素の総称であり、レアメタルの中でも更に希少です。

代表的なレアメタルは、ニッケル、タングステン、リチウム、インジウム、レアアースなどです。
代表的なレアアースは、ネオジム、セリウムなどです。

一般にレアメタルが希少であるのは、地殻中の存在量が比較的少ない、採掘と精錬のコストが高い、単体として取り出すことが技術的に困難である、金属の特性から製錬のコストが高いなどの理由からです。

以下に代表的なレアメタルとレアアースの使われ方についてご紹介します。
・ニッケル:主にステンレス鋼の材料として添加されており、身近なものでは硬貨などに利用されます
・タングステン:電球のフィラメントや切削工具、ドリルなどの、高い電気抵抗と融点を持つ機器や工具に利用されます
・リチウム:ガラスの添加剤やリチウム電池などに利用されます
・インジウム:導電性があり、透明である特性を持つため、フラットパネルディスプレイに利用されます
・ネオジム(レアアース):モータ用磁石、セリウムはガラス研磨剤、自動車の排ガス触媒などに利用されます

貴金属

貴金属とは、産出量が少ないために希少であり、化合物をつくりにくく、加工性がよい金属です。代表的な貴金属は、金、銀、プラチナなどです。

用途として、貴金属は古くから装飾品に用いられています。
産業用途では、プラチナは自動車の排気ガスの浄化(触媒)などに使用され、金は高い耐食性からスマホ・パソコンの電子基板のなかの銅線のメッキなどに利用されます。

非鉄金属の製錬

多くの場合、金属は様々な元素を含む化合物の状態で鉱石として存在し、酸素や硫黄との分離が必要となります。この分離する手法として鉱石から金属を抽出する製錬があります。

製錬では鉱石に対し、熱・電気・化学的な方法で目的とする金属を抽出します。
具体的には、鉱石を溶かす溶解、目的の金属を得る方法や鉱石を硫酸などの電解液で溶解し、その溶液中で電気分解して析出させる方法などがあり、製錬所にて工業炉等の設備を用いて行います。

金属製造の一例を表にしました。それぞれの金属・鉱石ごとに対応した製法で製造します。

非鉄金属の加工

鉱石、スクラップを製錬し、金属を製造した後、工業炉や鋳造設備、圧延機、管製造設備などの様々な設備を用いて、圧延、押出、鋳鍛造等の加工をして、板、管、棒、線状の材料及び様々な部品に加工します。
非鉄金属の中でもベースメタルであるアルミ、銅、亜鉛などは需要及び生産量が高く、非鉄金属の中でも代表的な金属になります。

アルミは軽量性から航空機や自動車等の部品に、銅は導電性から電線や銅線、半導体等の電子材料に、亜鉛は耐食性から防錆や防食用として自動車、船舶、橋梁の構造材などに加工されます。

これらのベースメタルよりも優れた性能・性質が要求される場面でレアメタル、貴金属が使われます。特に半導体などの電子材料においては、様々な電気特性、磁性、発光・受光特性を持つ材料が必要となり、レアメタル、貴金属が使用される場面が多いです。

非鉄金属業界では、単に非鉄金属に製錬して、板・管材などの金属素材として販売するだけでなく、比較的加工が容易な製品である銅線、電線、ワイヤーハーネス、電池、その他電子材料等に加工している企業もあります。
特に、日本は自動車用ワイヤーハーネスや電線などに高いシェアを持ち、世界に供給しています。

非鉄金属業界の概況

非鉄金属業界は鉱石・スクラップの取得、製錬、加工の3つの段階があります。鉱石・スクラップの取得において、条件の良い仕入れ先からの輸入や海外鉱山の権益の獲得に注力する企業もあります。
また、扱う金属を絞り込んだり、電線用や医療用、機械の特定部品用など分野に特化した製品の研究開発による領域特化や、加工やリテール(小口)販売などの領域で独自の強みを作ろうとする企業もあります。

そのため、同じ非鉄金属業界に属する企業でも扱う金属や強みとする製品が異なります。
非鉄金属業界の特徴として、大規模な工業炉や鋳造・圧延設備などを必要とする設備産業であるため、設備の採算性をとるために大量生産を行っており、企業規模は他業界と比較して大きい傾向にあります。

国内需要に大きな成長が見込めないことから新興国を中心に海外展開を積極的に行っており、特に電線(銅電線、アルミ電線)や、電化製品・自動車向けの電子部品、配線ケーブルなどの需要が高いです。

また、次世代自動車や第5世代通信(5G)、IoTの発展を背景に電子部品、配線、バッテリーなどに用いられる非鉄金属の需要はさらに高まっており、今後も技術の進歩に伴いさらなる成長が期待できる業界です。

非鉄金属業界の職種

非鉄金属メーカーは自社の設備を用いて非鉄金属製品を作り出すため、製造技術の開発、設備の維持管理等やそれらの設備を用いた製錬・加工が主な業務内容となります。これらの職種を一部ご紹介します。

研究開発

非鉄金属の製錬・精製プロセス及び環境・リサイクルのプロセスの研究や実現するための生産設備の開発を行います。また、機能性材料・電子材料への応用に関する研究や加工技術で幅広い領域の研究開発を行います。

製錬技術を高度化し、高効率かつ低コストなプロセスの開発や新規材料創生を目標とします。
様々な分野からの研究アプローチを行うため金属・材料や物理、化学、機械、電気、情報等幅広い分野の理系学生が必要とされています。

製造

原材料であるスクラップや鉱石から製錬を行い、加工して製品を作る工程を担う職種です。製造は生産ラインにおいて工業炉や圧延、鋳造設備等様々な設備を操作するオペレーターや、製品の品質テストなどを行い問題がないかを確認する品質管理などの仕事があります。

モニターを通して管理するだけでなく、機器の移動や点検などの作業や、生産ラインに入っての仕事も多く、モノづくりの現場に直接的に携わる職種です。

製造技術

非鉄金属製錬・精製および環境・リサイクルプロセスにおいて、非鉄金属製品を高品質かつ効率よく生産するために、製造設備の開発や製造方法の探索を行う職種です。

既存の製造設備の維持管理・改善だけでなく、新製品の製造技術の確立や海外工場での生産ライン立ち上げ等に関する電気設計、機械設計なども行います。
また、機械設備の建設には土木・建築の知識を必要とするため、電気、機械、土木、建築などの幅広い分野のエンジニアを必要とします。

生産技術

生産技術は、非鉄金属製品の生産プロセス全体を管理する職種です。目標の生産量を実現するための予算や材料調達、プロジェクトの期間を企画設計し、工場の生産ラインや人員の調整等を行い、安定した生産を行うための環境づくりや改善のための業務を行います。
効率よく、高品質の非鉄金属製品を安定して生産すること及び安全に操業することを目標とします。

非鉄金属業界のおすすめのポイント

非鉄金属業界のおすすめのポイントをご説明します。

将来性が高い

仕入れ先が主に海外のため、海外輸入為替や国際市況から影響を受けやすいという特徴はあるものの、原材料の貯蔵や条件の良い仕入れ先からの輸入、海外鉱山の権益の獲得など積極的に資源開発を行っています。また、非鉄金属業界はほとんどの製造業において必要不可欠であり、幅広い業界からの需要があるため、一つの業界に左右されず安定しています。

近年、5G・IoT・電気自動車等の技術革新によって、電子材料等に使われる非鉄金属の需要は高まっており、今後もさらなる成長が期待できます

業界規模に対する就活の競争率が低い

非鉄金属業界はモノづくりに不可欠な非鉄金属を扱い、設備産業であるため企業規模も大きい傾向にあります。しかしながら、モノづくりの上流工程に属し、完成品の製造をほとんど行わないため、消費者からイメージされ難い業界です。

また、金属・材料系の学生からの認知度は高いですが、その他の非鉄金属業界が必要とする化学や機械、電気、土木・建築、情報といった専攻の理系学生からはあまり認知されておらず、競争率は低いです。そのため、まだ志望業界が決まっていない理系学生におすすめの業界です。

まとめ

本記事では非鉄金属業界の概要から金属の種類、製錬、加工、職種、おすすめのポイントまでご説明しました。非鉄金属業界は設備産業であるため企業規模も他業界と比較して大きいです。
また、非鉄金属は電子材料や防腐剤、機能材など材料としての重要性が高く、電線やワイヤハーネスなどの製品への加工も行っています。

本記事で非鉄金属業界に興味を持った方は是非、業界研究や企業研究をしてみてください。

非鉄金属業界の属する資源関連業界については「モノづくりの原点?様々な材料を社会に供給している資源業界とは」の記事で解説しています。非鉄金属業界の他にも鉱業、鉄鋼、石油・天然ガスなど広く概要をご説明していますので、資源業界に興味を持った方はぜひご覧ください。

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