日常生活から産業まであらゆる分野で注目されている?光学機器メーカーの魅力をご紹介!
理系学生の就職先の一つである光学機器メーカーに焦点を当てて、光学機器の概要から、業界や職種、おすすめのポイントまで紹介していきたいと思います。
光学機器と聞いてもどのようなものかイメージし難いと思いますが、身の回りのあらゆるところに使われており、必要不可欠なものです。
光学機器メーカーを知らない方はもとより知っている方も含め、この記事が光学機器メーカーへの興味や理解を深めるきっかけになると幸いです。
光学機器とはどのようなものか
光学機器メーカーについて紹介する前に、光学機器がどのようなものであるのか、具体的にはどのような製品があるのかをご説明します。
光学機器とは
光学機器は簡潔に表現すると「光の作用や性質を利用した機器の総称」になります。
身の回りの光学機器の例を挙げると、眼鏡や顕微鏡、プリンター、ディスプレイ等が含まれます。
これらの例をみると、仕組み、用途などに一貫性が無いように思うかもしれませんが、これらの光学機器は全て光学技術を用いているという共通点があります。
光学技術とは、光の直進、反射、屈折、干渉を利用した技術です。
この光学技術を活用するためには、光学部品と呼ばれるものが必要となります。
光学部品とは
光学部品とは、光の直進や屈折、反射、干渉などの現象を引き起こす部品です。
基本的な光学部品はレンズ、ミラー、フィルター、プリズムがあります。
それぞれの機能は以下のようになります。
光学機器の中で光学部品がどのように機能しているのか、プロジェクターを具体例に挙げてご説明します。
プロジェクターの仕組みは、白色光源からフィルターを通して、赤、緑、青などの光成分に分解し、ミラーで反射させて光の進行方向を制御します。
ミラーからの各光成分をプリズムで集約し、レンズで拡大して画像を投影します。
このように、白色光を赤、緑、青の成分に分け、適切に合わせることで様々な色を表現でき、結果として画像を表示できます。
光半導体の役割とは
光学機器の内部には、これらの光学部品に加え、光と電気の変換により光学部品と電子回路を繋ぐ役割を持つ、光半導体と呼ばれる部品があります。
光半導体は発光素子と受光素子の二つに分類され、それぞれの機能は以下のようになります。
LEDは、可視光や赤外線、紫外線を発する部品です。LED電球をはじめとした様々な光源に使われています。
レーザーダイオードは、単波長で位相のそろったレーザー光を発する部品です。レーザー加工装置や光学ドライブなどに使われています。
フォトダイオードは、光を検出するセンサとして利用される部品です。リモコンの受光器などに使われています。
イメージセンサは撮像素子とも呼び、レンズ、フィルタ、フォトダイオードが組み合わさって構造をしています。レンズを通った光がフィルタでRGB(レッド、グリーン、ブルー)成分に分解され、フォトダイオードで光を電気信号に変換しています。デジタルカメラなどに使われています。
光学機器は、上記で説明したような光学部品及び発光・受光素子を組み合わせ構成されています。
光学機器の例
ここまで光学機器がどのようなものかや構成する光学部品について説明しました。ここでは光学機器の例をご紹介します。
光学機器の例を以下のイラストに表しました。
これらの例をみると、光学機器に分類される製品は多種多様であることがわかります。
光学機器は眼鏡やカメラといった身近なものから、複合機やディスプレイといったOA機器、顕微鏡のような研究用機器、医療用機器、産業用機器、光通信などあらゆる分野で活躍しています。
また、これらの光学機器には必ず何らかの形で光学部品や光半導体が使われています。
例えば、複合機のスキャナーは紙媒体にLEDなどの発光素子の光を当て、反射した光をレンズで集め、イメージセンサなどの受光素子で受け取ることで、紙媒体をスキャンしています。
光学ドライブは、CD、DVD、BDなどのディスクにレーザーダイオードの光をミラーやレンズを介して当て、反射した光をフォトダイオードなどの受光素子で受け取ることでディスクのデータを読み取ります。
液晶ディスプレイは、液晶と呼ばれる物質を使います。この液晶は、液体と固体(結晶)の中間の物質であり、電気によって液晶分子の向きを変えることができます。これにより、反射、屈折率を制御し、フィルタを通る光量を調整できます。
液晶ディスプレイの構造はいくつかの板(層)を重ね合わせており、光源であるバックライト、光を遮る偏光板、液晶を制御する電極、光を制御する液晶層、光に色を付けるカラーフィルタにより構成されます。
バックライトの光を偏光板で一部通し、電極で液晶を電気的に制御することで光量を調整し、カラーフィルタに通すことで様々な色を再現しています。
このように光学機器は、光学部品、光半導体を組み合わせることで情報の読み取りや表示などを実現していることがわかります。
光学機器業界について
ここまでで光学機器とはどのようなものかある程度理解して頂けたかと思います。
ここでは、光学機器業界の特徴や展望について述べていきます。
光学機器業界の特徴
光学機器とは先ほど述べたように「光の作用や性質を利用した機器の総称」であるため、該当する業界が非常に大きいです。
これは、レンズ、フィルタといった光学部品を製造している企業や、それらを組み合わせてプリンターや顕微鏡、ディスプレイといった光学機器を作っている企業全てが光学機器業界に含まれるためです。
また、企業ごとに得意とする技術が違います。つまりは、レーザー技術を得意とする企業や光センサーを得意とする企業、カメラ関連を得意とする企業等があるということです。
よって、企業によって事業領域も異なってくるので、光学機器メーカーを志す際には企業研究を入念に行う必要があります。
光学機器業界の展望
光学機器は日常生活から医療、製造業、研究まであらゆる分野に使われており、現代において必要不可欠です。
これらの中でも、近年、特に注目されている光学機器及び光学技術分野を紹介します。
光通信
従来のインターネット通信は銅線で繋いだ電話回線を利用して電気信号で通信していました。しかし、現在は光ファイバー(石英ガラス、プラスチック)で繋いだ光回線を利用して光信号で通信する光通信が主流となってきています。
光通信が台頭してきた理由には、通信速度が速く、回線が安定していることなどが考えられます。光通信は文字通り光で通信するので通信速度が速く、従来の通信のおよそ20倍といわれています。
また、光通信は電気通信とは異なり、距離減衰が殆ど無いので収容局(回線の収容場所)との距離に関わらず、安定しています。
光通信の仕組みは、電気信号をONUと呼ばれる電気信号と光信号を変換する機器で光信号に変え、光ファイバー内を全反射することで損失せずに遠くまで伝えます。
このように、通信分野においても光学技術が必要不可欠なものになっています。
光センサ
デジタルカメラ等をはじめとして光センサは様々な場面で活用されています。特に近年、自動運転の車載用センサやIoTセンサなどの分野は市場が拡大しており、これらに使われる光センシング技術の需要も高まっています。
デジタルサイネージ
近年、新たな情報表示媒体としてデジタルサイネージが注目されています。このデジタルサイネージは、通信とデジタル技術に光学技術である液晶表示を合わせたものです。
駅の広告表示やショッピングモールのフロア案内、銀行、病院の待合室での広告や天気の表示など様々な場所に導入されています。
有機EL
新たなディスプレイの方式として有機ELディスプレイが普及してきています。液晶ディスプレイはバックライトの光が液晶を介して調節され、カラーフィルタを通して色を再現します。
それに比べ、有機ELは有機発光ダイオードという光源自体が色を持つ部品を使うので、バックライトや液晶、フィルタが必要なく、より薄型の構造になります。また、有機発光ダイオードは自然発光(太陽に近い光)であるため、明暗がはっきりとしています。
上記で挙げたように、光学機器及び光学技術はあらゆる分野で使われています。
光学技術は、カメラ、顕微鏡などの古くからある分野に加え、これらの新たな分野にも活用されるようになり、光学機器や部品の需要が高まってきています。
光学機器メーカーの主な職種
光学機器メーカーも一般的なメーカーの職種とほとんど相違ありません。しかし、光学技術を扱うという点で光学系のエンジニア職が存在します。従って、他の業界よりも物理系、光学系専攻の学生が重宝される傾向にあります。
ここでは、光学機器メーカーの主な職種を開発系と製造系に分けてご紹介します。
開発系の職種
新技術や製品の研究や開発、設計を行います。
医療用機器、産業用装置、プリンターなど電子機器に含まれる光学機器メーカーでは、機械系、電気系、光学系のエンジニアに分かれていることが多いです。
研究職
光学技術の開発及び光学技術とその他技術を複合した新技術・製品の開発を行います。また、既存の分野だけでなく新たな分野への光学技術の流用も行います。
新たな技術を発見することが期待されているため、高度な知識や探求心が必要とされます。
設計開発職
研究職が研究した新たな技術の製品化するために必要な設計・開発をします。
また、分野によっては顧客の要望を満たすオーダーメイド品の設計なども行います。
特に光学系エンジニアは製品の光学部分を発光・受光素子、光学部品を組み合わせて必要な機能を満たすよう光学設計を行います。
製造系の職種
製造系の職種は設計開発職が製品化したものの安定した生産化を目指します。
主な分類は生産技術職、製造技術職、生産管理職、品質保証・品質管理職になります。
生産技術職
コストダウン、生産効率向上、品質向上等の生産プロセスの最適化を目指した既存技術の改善、新工法の研究開発を行います。
小型の光学機器は工場内で部品生産から組み立てまで行いますが、レーザー加工装置や半導体露光装置などの大型の光学機器は顧客の工場で組み立てる場合があり、取り扱う光学機器に応じて生産プロセスが大幅に変わってきます。
製造技術職
既存の生産設備の保全や改善、トラブルが生じた場合の対応も行います。
また、生産技術職が検討した新工法やプロセスが確立できるよう新規生産設備の設計、立ち上げも行います。
企業によっては設備設計、立ち上げを外注する場合があります。
生産管理職
製造技術職が設備自体の保全をするのに対し、生産管理職は製品を生産するライン全体を管理します。
また、営業や開発設計からの生産依頼を基に、製品の生産する量、期間などを含む生産計画の策定を行い、納期の回答を行います。
品質保証・品質管理職
製品の機能や信頼性、規制適合性など、製品の品質を確立する役割を持ちます。
生産する製品の品質を一定に保ち、安定した品質を提供することを目的とし、製造工程の管理・改善を行います。
特に、光学機器は非常に精密な製品であり、微細な不純物の混入が製品に大きな影響を及ぼすので、製造環境にも注意する必要があります。
光学機器メーカーのおすすめポイント
これまで、光学機器の概要から光学機器業界の特徴や展望、主な職種等を紹介してきました。ここでは、光学機器メーカーの理系学生におすすめのポイントを紹介します。
将来性が高い
「光学機器業界の展望」でも述べたように、光学機器は必要不可欠であり、特に近年のIoT化推進により、モノの情報を集める光センシング技術は非常に重要です。他にも光通信、医療分野と光学が必要とされる場面が増えています。これらの需要から、多くの企業が光学分野に力を入れています。したがって、光学機器は将来的に伸びていく分野だといえるでしょう。
幅広い分野の理系学生が必要とされている
電気機器メーカーでは、電気系、機械系、情報系のエンジニア職が一般的です。しかし、光学機器メーカーではこれらの分野に加えて、光学系エンジニアに物理系学生が重宝されています。また、医療用光学機器や光学センサなどの分野では化学、生物系エンジニア職があり、これらには生物系、化学系学生が必要とされています。
社会貢献度が高い
光学機器はスマートフォンのカメラや監視カメラ、光通信、OA機器、半導体製造装置、医療用機器、研究用の分析機器など身の回りのあらゆるところに使われており、人々の生活を支えています。現代において無くてはならない社会基盤の一つであり、社会貢献度も非常に高いといえます。直接製品の開発や設計を行うエンジニア職に携わることが多い理系学生にとって、自ら関わった製品が社会貢献していることに非常にやりがいを感じると思います。
まとめ
今回は光学機器メーカーについて、光学機器の概要から、業界、職種、展望、おすすめのポイント等をご紹介しました。
光学機器の種類や用途が多岐にわたります。しかし、根幹となる光学技術を用いるという点では共通しています。
光学機器メーカーを志すうえで、企業ごとにどのような光学技術を得意とし、どのような製品を展開しているのかを企業研究をして把握することが大切です。
この記事を読んで光学機器メーカーに興味を持った方は是非、説明会に参加やOB・OG訪問等をしてみてください。
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