建物の構成する素材を作る 建材メーカーとはどんな業界?
理系学生の就職先として人気の業界の1つが、製造業、メーカーですが、メーカーと言っても製造する製品や種類によって様々です。
その中でも今回は建材メーカーについて、建材メーカーの種類や理系学生に関係の深い職種、建材メーカー業界の将来性などを中心にご紹介します。
建材と聞くと、建築系のイメージが強いため、建材メーカーについてあまり詳しく知らないという方や、就職先の選択肢になかったという方も多いのではないでしょうか。
しかし、建材メーカーの企業には化学や機械、電気を専攻している方が活躍できる職種が多く用意されています。
こちらの記事をを読んでいただき、建材メーカーの理解や、メーカーの業界研究の一環として役立ててください。
建材とは
建材メーカーは文字通り、建材を製造する企業のことを指しますが、ここで言う建材とは一体どのような製品なのでしょうか?
建材とは、建築に使われる資材のことで、建築物に使用されている全ての資材、材料が当てはまります。
建築物を建てるのに多くの資材が使われるように、建材も非常に多くの種類があり、使われる部位で分類した場合でも20以上の種類の種類に分けることができます。
今回は、建材を大きなくくりで理解できるように3つに分類してご紹介します。
構造材
建物等の構造は、柱や梁、それらを支える基礎(主に地中)によって構成され、構造材はそれらに使われる建材を指します。
構造材が後述する仕上げ材等で隠れている場合もあれば、構造材自体が意匠(デザイン)となっている場合もあります。
構造材は荷重・耐震・耐火など、建物の安全面に大きく影響するため、構造材を製造するメーカーではより安全性の高い製品の開発や製造を担っています。
構造材を扱う企業は構造物の種類ごとや、木材や鉄骨、コンクリートなどの材料ごとに強みを持っているのが特徴です。
また、建材のパーツを組み合わせてひとつの部品を作る部材構成はもちろん、建物全体の構造設計に関わっている企業もあり、その規模感は企業によって異なります。
仕上げ材
仕上げ材は、構造材の外側を仕上げるための材を指し、外装や内装など、直接人目に触れる部分の材料です。
例えば、内装であれば石や壁紙、塗装等の壁や天井、床のデザインに関わるものや、窓のサッシをはじめとした建具等が該当します。
内装・外装は建築物や空間の印象づくりはもちろん、空間の環境設備にも大きく関わるため、仕上げのデザインをする場合には、デザイン性と同時に機能性等の様々な観点で空間設計に取り組むための専門性が求められます。
高いクオリティの環境設備はもちろん、依頼された雰囲気に合わせた製品の開発や製造を行っています。
住宅設備機器
住宅設備機器とは、キッチンや洗面台、バス、トイレなど家の設備として取り付けられている機器のことで、分類方法によっては建築資材と住宅設備機器のように上記の下地材や仕上げ材などとは分けて紹介されることもあります。
住宅設備機器メーカーは住宅の中で普段から使用する設備を製造するメーカーのため、TOTOやINAX、パナソニック、クリナップなど規模の企業が多いのも特徴の1つです。
建材メーカーの中で理系学生に関係の深い職種紹介
ここからは一般的な建材メーカー企業に存在する職種の中で特に理系学生の知識や専門性を活かすことのできる職種を中心にご紹介します。
企画、開発系
研究開発職や商品開発職などと呼ばれることの多い企画、開発系の職種は新製品開発や既存製品の改良、新技術導入などを担当します。
具体的な仕事内容としては、市場調査、マーケティング、他社製品の調査といった情報収集から、商品コンセプトや仕様などの企画書作成、開発スケジュールの立案や材料選定、試作、試験・分析など、新製品に関するさまざまな業務を担っています。
新製品の開発では、ゼロから製品化に至るまでのプロセスを考えていかなければなりません。
そのため、新しい技術に興味のある方や、世の中にない新たな製品の製造に関わりたい方、0から1を作る仕事にやりがいを感じることができる方に向いている職種と言えるでしょう。
製造系
製造系の職種では製造プロセス効率化・コストダウンの為の技術の開発、新工場の稼働や新ラインを敷設する際には設備導入から生産ラインの企画設計など、製品を安く、安定して提供するための役割を担っています。
製造系の職種に関しても、企業によって用意されているポジションや仕事内容は異なりますが、今回は製造系での3つの代表的な職種をご紹介します。
生産管理
生産管理職は製品を生産するライン全体の管理を担う職種です。
具体的な仕事内容は、販売部門の販売計画に基づく生産計画の策定や、生産設備の運用状況や生産担当者の作業環境、資材調達状況や完成品の保管状況など、工場の活動を改善しながらコントロールします。
製造ラインでは、新技術や新しい機械の導入、製品改良のために頻繁に製品切り替えが実施されます。
コストや効率を考慮しながら、高品質な製品を製造するために生産管理職は製造ラインの全体を見渡しながら、さらなる改良に着手すると言った仕事を行ううえで全体を見渡せる広い視点が必要となります。
生産技術
生産技術課は、安全や品質、コストなど、さまざまな視点から量産体制を整備する職種であり、いかにして効率よく、低コストで品質の高い商品を量産する体制を実現させるための役割を担います。
生産管理職と比較すると、生産管理職が生産ライン全体の管理を担当するのに対し、生産技術職は、1つ1つの機械、工程などのよりミクロの視点での効率化や新技術の導入などの改善を担当します。
工場内の様々な設備の管理を担当するため、機械や電気の専門的な技術が求められる職種と言えるでしょう。
また、設備の保守や点検、設備更新、最新機器導入、さらにはトラブルが生じた場合の対応についても生産技術職の仕事に含まれる場合があります。
新しい設備の導入や定期メンテナンスは事前に計画を立てて実行しますが、突然のトラブルや故障が起こった際はその場での対応が求められるため、より専門性が求められます。
以上が生産管理職の主な仕事ですが、設備の保守や点検、トラブル対応などの仕事は、製造技術職という別の職種が担当する企業もあるため、各職種がどのような仕事を担当しているかは企業ごとに確認するようにしましょう。
品質管理
品質管理職は機器の設計開発から販売サービスに至るまでの品質管理を担当します。
各工程において、製造された製品が基準を満たし、品質を保っているかをチェックし、異常がある場合はすぐに原因を究明して修正を行います。
販売
営業職
製造された製品を販売するのが営業職です。
素材メーカーの営業職は代理店、販売店、工務店やリフォーム店などへのPR活動や、独自製品の開発・技術の提案などが主な仕事です。
営業職に関しても建材に関する知識は求められますが、多くの企業では学部や学科の制限をしていません。
そのため、理系の学生であっても営業職に応募することは可能です。
建材メーカーの将来性、重要なポイント
ここからは建材メーカー業界企業の将来性を調べるうえで重要なポイントについてご紹介します。
企業の将来性は多くの学生が注目するポイントだと思います。
建材メーカー業界に興味のある方や、これから建材メーカー企業を調べたり、説明会を受ける方は次の点に注目しながら企業研究を進めていきましょう。
バリアフリー化
日本は高齢化社会を迎え、平均年齢もこの先上がってくることが予想されています。
その際に重要になってくるのがバリアフリー化やユニバーサルデザインです。
こちらは特に住宅設備機器の建材メーカーに当てはまる項目ですが、新しい技術を介護向けや高齢者向けの製品の開発に活かすことができているかを調べることによって、企業の将来性を考えるうえで役立ちます。
サステナブル
続いて重要になるワードはサステナブルです。
構造材や仕上げ材には木材が使われることが多いため、原料となる木材を使用する際にどれぐらい環境に配慮した取り組みを行っているかやリサイクル素材の使用率が重要な指標となります。。
環境問題はSDGsをはじめとして、世界的な課題となっているため、注目度も高まっています。
サステナブルの面で力を入れている企業は、今後強みとして生きる可能性が高いため、将来性を調べるうえで大事なポイントとなりますし、環境配慮への取り組みは企業が社会から求められているポイントでもあります。
海外事業
海外事業の拡大は多くのメーカーが力を入れていますが、建材メーカー業界も例外ではありません。
日本の人口減少に伴い、新築住宅着工件数も減少しており、国内需要の大幅な増加は期待できない状況です。
そのため、今後経済成長や市場の拡大が期待される東南アジアを中心に海外事業への展開をしてきた企業も多くあります。
日本のメーカーは品質や技術を海外から評価されることが多いため、気になる企業の技術力がどのような評価を受けているのか、または今後海外進出を行ううえで現状の課題なども調べるとより良いでしょう。
建材事業の立ち位置を調べる
ここまでは建材メーカー企業を調べるうえで、重要なことについてご紹介しましたが、企業によっては建材事業以外にも住宅事業や都市開発事業など様々な事業を展開している企業もあります。
そのような場合は、企業内において建材事業がどのような立ち位置であるのかや、複数の事業を行っていることによる企業の強みや特徴、建材事業が今後どのような役割を担うことを期待されているかを調べるようにしましょう。
まとめ
今回は建材メーカーについて、建材の種類による分類や仕事内容、企業を調べるうえでのポイントなどをご紹介しました。
機械や電気、化学などを学んでいる学生にとって、建材メーカーはあまり馴染みのない業界かも知れませんが、今回ご紹介したように、機械や電気を初め理系分野を専攻している学生が活躍できる職種が多く用意されています。
建材業界のように製造業の中でも今まであまり触れる機会がない製品を製造している業界は多くあります。
就活の時期にぜひ様々な業界を調べることで自分自身の可能性を広げていきましょう!
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