【理系就活生向け】需要拡大中の半導体業界を一からわかりやすく解説!

2023年7月10日 更新

近年、半導体不足など、半導体という言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか。
半導体は電気や機械に精通している人であれば詳しいかも知れませんが、多くの人はどのようなものであるかあまり知らないと思います。

また、半導体業界は需要拡大しており、理系学生にとっての活躍の場でもあるため、理系就活生には特におすすめの分野です。

ここでは、半導体の実態や半導体業界の産業構造まで一からわかりやすく解説します。

半導体とはどのようなもの?

半導体が実際にはどういったものなのか、概要から役割まで詳しくご説明します。

半導体とは

半導体とは、電気を通さない絶縁体と電気を良く通す導体の中間の性質を持つ物質のことをいいます。つまり、電気を通したり通さなかったりする性質があります。

この性質から、半導体を複雑に組み合わせることで電流の流れる量を調整したり、スイッチング(オン・オフ)を行うことができ、結果として複雑な機械の動作を自動で行うことができます。このことから導体や絶縁体よりも半導体が注目されています。

半導体物質にはシリコンやゲルマニウムがあり、中でもシリコンがよく使われています。

このシリコンなどの半導体を加工して半導体デバイスをつくり、家電、パソコン、スマートフォンなどの電子機器の電子回路として使用します。

また、半導体という表現は半導体デバイスも含めて幅広い意味で用いられる場合があるので注意が必要です。

集積回路とは

半導体を半導体デバイスという電子部品に加工すると説明しましたが、この半導体デバイスには「集積回路」と呼ばれるものがあります。

集積回路とは、半導体デバイスの一種であり、文字通り回路を集めて積んだものです。
通常、電子回路はプリント基板という数cm〜数m単位の大きさの板の上に抵抗やコンデンサなどの電子部品が積み、銅線などで結び電流を流すことで機能します。

スマートフォンなどの高性能な機器をプリント基板上に部品をすべて並べて作ろうとすると、膨大な大きさの基盤が必要になります。

そこで、複数の部品や機能をまとめた回路を数mm単位のシリコン基板(シリコンチップ)に集積した小型な電子部品(半導体デバイス)を作り、これをプリント基板上に置くことで、結果として小さな電子機器を作ることができます。

この集積した小型な電子部品が半導体デバイスの一種である集積回路と呼ばれる電子部品です。

集積回路は英語で、「integrated circuit(インテグレーテッド サーキット) 」であり、頭文字から「IC」と表されます。

半導体デバイスの分類と役割

半導体デバイスの中にも、様々な種類のデバイスが存在します。

ここでは半導体デバイスの分類や概要を紹介した後に、その役割について、半導体デバイスが多く使われているパソコンの仕組みとともにご説明します。

以下に、①半導体デバイスの分類、②各半導体デバイスの概要、③パソコンの仕組みと各半導体デバイス役割、をそれぞれまとめました。

全てを理解するのは難しいと思いますが、ここではメモリは記憶するもので、マイクロ、ロジックは計算(情報処理)するものだということだけ理解してもらえればよいです。

半導体業界の産業構造

ここでは、半導体業界のビジネスモデルから製品の製造工程まで、産業構造を紹介していきます。ここでの半導体は集積回路を指します。

半導体業界のビジネスモデルと業務内容

半導体産業は市場規模が大きく、半導体製品の種類も非常に多いため、製造や開発に求められる技術は多岐にわたります。
これらに対応していくために分業化が進んでおり、様々なビジネスモデルが存在しています。
ここでは、半導体業界のビジネスモデルについてご説明します。

半導体の製造は簡単に説明すると以下の3つのプロセスがあります。

設計:半導体に転写する回路を形成する。
前工程:半導体に回路を転写する。
後工程:半導体をカット、組み立てを行う。

半導体(IC)メーカーは、この3つのプロセスをそれぞれ行う企業と、全てを行う企業の4つのビジネスモデルがあります。それぞれを以下で説明します。

【ファブレス】
fab(fabrication facility)less、つまりは「工場」を持たない企業です。自社で設計・開発を行い、製造はファウンドリという製造工場を持つ企業に委託します。

【ファウンドリ】
半導体を製造する工場(foundry)を持つ企業です。ファブレスから受託し、自社工場で半導体製造の前工程を行います。

【OSAT】
Outsourced Semiconductor Assembly & Test 略であり、半導体の組み立て、テストを請け負う、後工程専業の企業です。

【IDM】
Integrated Device Manufacturer の略であり、自社内で設計・開発・製造・販売まで一貫して行う、垂直統合型のデバイスメーカーです。

この4社に加え、製造に必要な装置や材料を作っている企業があります。

【半導体製造装置メーカー】
半導体製造には400工程〜600工程もあるといわれています。よって、半導体製造に必要な装置も多岐にわたります。また、一つ一つが非常に高価であり、装置を作るメーカーも数多くあります。

【半導体材料メーカー】
半導体製造には装置だけでなく、シリコン、薬品、ガス、樹脂など様々な材料が必要となり、それに対応したメーカーがあります。

半導体の製造工程

半導体業界の産業構造で半導体製造の前工程、後工程や製造にかかわる企業のビジネスモデルについて簡単に説明しました。
ここでは、IDMやファウンドリやOSATの工場で半導体(集積回路)がどのように製造されているのかを詳しく説明します。

半導体の製造方法は「フォトリソグラフィ」と呼ばれる技術を用いて行います。
フォト(光)をシリコン基板に当てることで回路を転写します。

フォトリソグラフィを含む半導体製造工程をイラストでまとめました。
以下のものは大まかなイメージで、実際はデバイスの種類や集積度によって工程が変わります。

半導体業界の仕事内容

ここでは、半導体業界の仕事内容をご紹介します。

以下に半導体業界の主な職種をまとめました。

これらの職種以外にも一般的な企業と同様に営業職もあるので、半導体の知識をつけながら営業のスキルを磨くという選択肢もあります。

上記の表の職種は一例であり、企業や扱う半導体デバイスの種類などによって、職種や業務内容は異なってきます。なので、詳しく知りたい方は企業のホームページや説明会などで調べることをお勧めします。

半導体業界のおすすめのポイント

これまで半導体の概要からビジネスモデルや職種まで説明しました。これらを踏まえて、理系学生向けに半導体業界のおすすめのポイントをご紹介します。

誰でも志せる

半導体業界は専門性が非常に高く、電気、機械、情報、化学、物理、数学とあらゆる分野の知識が必要です。
また、半導体を専門で学んでいる学生というのは、ごく一部の半導体関係の研究室に所属している学生くらいです。

そのため、新卒採用段階では半導体に興味があればどんな分野の理系学生でも志望できる業界です。

将来性が高い

半導体はあらゆる電子機器に使われていてその上にIT技術が成り立っているので、半導体業界は市場が非常に大きいです。
半導体がないとそのうえで成り立っているスマホやパソコン、情報通信技術などのIT関連が成り立たないので、必要不可欠な業界です。

また、現在IT業界や情報通信技術などは更に発展していて、それに伴い半導体の需要が高まっています。
これらのことから、半導体業界は非常に将来性が高い業界であるといえます。

競争率が低い

半導体業界は専門性が高いので他業界からの転職が難しく、常に技術者不足の状態です。
また、半導体の理解が難しいことや働き方や専攻分野を生かせるのかを明確にイメージしにくいことが多く、半導体業界は市場の大きさの割に知名度が低いです。

そのため、競争率が低く、半導体に興味のある新卒理系学生には特におすすめの業界です。

年収が高い

国内半導体メーカーや半導体製造メーカーで平均年収1000万を超える企業も多々あり、全体的に見ても給与水準が高い業界です。
この要因としては、電子機器が広く一般的に普及していて非常に需要が高いことや他業界よりも業務内容に高い専門性が求められることなどが考えられます。

入社してからは相応に勉強は必要ですが、高い給与水準はモチベーションにもつながると思います。

まとめ

半導体の基礎知識から、半導体業界についてやメーカーの種類、職種、おすすめのポイントまで詳しく説明しました。
半導体は、一見イメージしにくく、難しい分野だと感じるかもしれません。
ですが、現代社会において必要不可欠なものとなっていて、業界の将来性も非常に高いので理系学生におすすめの業界です。

この記事を読んで、興味を持った方は半導体業界の企業の説明会参加やサイト閲覧等、詳しく調べてみてください。

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