理系の知識が医療に役立つ? 医療機器メーカーの仕事内容や将来性とは

2023年2月5日 更新

理系学生の就職先としてメーカー業界は人気業界の1つですが、メーカー業界は分野や製品によって多くの種類に分類されているため、業界研究がうまく進まない学生も多いかと思います。

今回はそんなメーカー業界の中でも、医療機器メーカーに焦点を当てて、事業内容や職種についてご紹介していきます。

医療機器メーカーは基本的にはBtoBビジネスが多いため、普段の生活だと関わることが少ないですが、医療を裏で支える重要な役割を果たしています。

メーカー業界や医療機器メーカー業界に興味のある方は、今回の記事を参考にぜひ医療機器メーカーの理解を深め、就職先の選択肢を広げるきっかけにしてみてください。

医療機器業界とは

医療業界について

医療機器メーカーを知るためには、まずは医療業界、医療機器業界について理解しましょう。

医療業界とは、その名の通り医療に関連する業界の集まりで、病院や診療所といった医療機関、製薬会社、医薬品卸、そして医療機器メーカーなどが医療業界に該当し、今回ご紹介する医療機器業界は医療業界に含まれる業界の1つです。

医療機器業界について

続いて医療機器業界についてですが、医療機器はその名の通り医療業界の中でも医療機器に関連したビジネスを行っている企業が該当します。

医療機器業界と聞くと、今回ご紹介する医療機器メーカーが実際に医療機器を製造しているため、イメージがしやすいと思いますが、他にも流通・販売に関わる企業や、医療機器専門の商社、医療機器の導入や活用に関するコンサルティングを行う企業など目的ごとに多くの企業が医療機器業界に該当します。

医療機器の分類

ここまでで、医療機器業界の中でも実際に医療機器を製造している企業が医療機器メーカーであることを理解して頂けたと思いますが、医療機器についてもメスやピンセットといった小型のものから、レントゲン装置、MRI装置などの大型のもの、家庭内で使われるコンタクトレンズや体温計など多くの種類があります。

そのため、医療機器はいくつかの方法で分類されることがあるのですが、今回は2つ分類の例をご紹介します。

まず1つ目は、医療機器の大きさによる分類で、小型のものを医療用品(治療機器)、大型のものを医療機器(診断機器)という分類です。

市場規模で比較した場合、現状は医療用品の方が大きいですが、高齢化や予防医療の普及にともない、診断機器の需要も高まっており、福祉・介護施設や、海外新興国での需要の高まりなどから、診断機器は今後も成長を続けると予測されています。

もう1つは不具合が生じたときのリスクに応じた分類です。
機能障害や副作用が起こったとしても、人体の健康に悪影響を与える恐れがほとんどない医療機器から、不具合が生じた場合の機能障害、副作用のリスクがさらに高く、生命の危機に関わってくる機器までを、リスクが低い方からクラスIからクラスⅣまでの4つに分類しており、

クラスI:医療用メス、医療用ハサミ、医療式聴診器
クラスII:電子式血圧計、電子体温計、電子内視鏡
クラスIII:カテーテル、人工透析器、人口骨頭
クラスⅣ:ペースメーカー、冠動脈ステント、人工呼吸器

といった形で各医療機器がそれぞれのクラスに分類されます。

これらの分類から自分の興味のある分野や医療機器を調べ、業界研究や企業研究をしながら就活を進めていくのも1つの方法です。

医療機器メーカーの分類

続いては医療機器メーカーについて、どのような企業が分類されているのか、そして医療機器メーカーの特徴についてご紹介します。

医療機器業界はBtoBビジネスのため代表的な企業をイメージすることは難しいかもしれませんが、実際は医療機器業界が今後成長が見込める市場であるため、異業種から多くの企業が参入しています。
ソニーや富士フイルム、キヤノンといった他の分野で名前を知られている企業も実は医療機器を製造しています。

そして、各企業がそれぞれ専門分野や得意分野を持っているため、分野特化型の構造になっているのがこの業界の特徴です。

そのため、一般的には知られていないような企業でも、独自の技術を持っている企業や、特定の分野において強みを持っている企業などが存在します。

医療機器メーカーの事業の流れ

ここからは医療機器メーカー企業の仕事についてご紹介していきます。

これからご紹介する事業の流れや、職種については企業の規模や製造している医療機器メーカーによって異なる部分はありますので、ぜひ業界の全体像を把握するための参考にしていただき、興味のある企業については詳細を採用ページなどで調べるようにしましょう。

まずは医療機器メーカーの事業について、企画から製品の製造そして、販売されるまでの流れについてご紹介します。
医療機器業界の事業は大きく4つの区分に分かれています。

1.事業企画

事業企画では、事業全体の戦略やマーケティング戦略の企画や立案、調査、分析などを行います。

2.研究開発・生産

医療機器を開発設計する研究開発や、製品をどのように工場で生産していくかを考える製造系の部門など、事業の中核を担う部門で、理系学生の多くがこちらの工程の職種に就くことになります。

3.販売・販売支援

製品やサービスの窓口として、製品の販促活動や営業が主な業務です。
また機器の導入後も、医療現場の課題解決のためのサポートや提案を行います。

4.サービスサポート

医療機器は、高価で導入後も長年使用されるため、品質を保つメンテナンスが必要です。

そのため製品の販売、導入後の点検や修理、そしてメンテナンス業務を元に開発者へのアドバイスなども行い、次の研究開発や生産業務に活かします。

医療機器メーカーの代表的な職種をご紹介

ここからは医療機器メーカーの職種について、上記でご紹介した事業区分の研究開発・生産に当たる職種を中心にご紹介します。
下記に挙げている職種の種類は、仕事内容を紹介するためのものであり、企業によっては職種の名称が異なる場合があります。

開発系の職種

研究職

研究職は最新の技術や業界の動向を調査し、将来必要となる技術の基礎研究・応用研究などを行う職種です。

近年ではIT技術の進歩や健康への意識の高まりから、ITソリューション・プラットフォームの研究や、情報技術を活用したイノベーション創出を目指した研究などを行っている企業もあるようです。

開発職(設計含む)

開発職は製品の製品の機械設計や電気設計、企画設計などを行い、試作、各種試験を実施する職種です。

また製品化が決定した後にも、社内や外注での製造も含めて、量産方法の検討、確立までを担当する場合もあります。

製造系の職種

生産管理職

製造系の生産管理職は原材料の調達から機械加工、検査、組み立て、梱包までのプロセスを確立し、製品を生産する仕組みを管理する役割を担います。

大型の医療機器の場合には機械加工や、組み立ての工程の中にも複数の工程に分かれていたり、大手企業の場合には自社の工場を複数所有している場合があるため、人や機械、場所を考慮しながら、生産の工程を管理、そしてさらなる効率化に向けた取り組みが生産管理職の主な仕事です。

生産技術職

生産管理職が生産工程の全体を管理する仕事であるのに対して、生産技術職は機械加工や組み立てといった各工程内での生産効率や改良を担当する仕事です。

医療機器は不具合が生じた場合、人体に影響を及ぼす可能性が高いため、製造するにあたり、高度な技術が必要となり、現在も職人の手仕事に頼っている割合が大きいです。
しかし、近年は業務のデータ連携やIT化などにも注目が高まっており、品質を下げることなく各工程をデジタル化し、効率的な生産体勢を整えていきます。

品質管理職

品質管理職は機器の設計開発から販売サービスに至るまでの品質管理を行います。

生産管理職が生産工程全体を管理しているのに対し、品質管理職は製造された製品の品質に対しての責任を担い、不具合発生時の対応や性能・安全性を維持した製品を継続供給するための業務を行います。

製造技術メンテナンス

製造技術メンテナンス職は自社の工場を抱えている企業が、工場内の生産設備や新工場を建設する際の設計などに携わります。

これらの製造技術メンテナンス職の仕事内容は、製品を製造する機械および製造ライン全体のメンテナンスとなるため、プラントエンジニアの仕事に近いと言えます。

プラントエンジニアについては、
様々な専攻分野の理系学生が活躍できる プラントエンジニアの仕事内容から魅力までをご紹介
の記事でご紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。

メンテナンス系の職種

サービスエンジニア

サービスエンジニアは製品販売後の修理、保守、メンテナンスをします。

医療機器メーカーの仕事は、製品の製造販売だけではありません。
医療機関に導入された製品がその後も品質に問題ないかを点検し、必要であれば修理を行う必要があり、これらの仕事を担当するのがサービスエンジニア職です。

このようにトラブルを未然に防止する為のメンテナンスが主な仕事ですが、緊急トラブル時における修理対応などもサービスエンジニアの仕事内容に含まれます。

営業系の職種

営業

営業職は医療機器メーカーに限らず、ほとんどの業界に存在する職種で、自社製品を顧客に説明、販売するのが主な仕事です。

医療機器メーカーの営業職の特徴は、医療機器の専門家として、高い製品知識と医学知識が求められます。
また、医師・看護師・MEの皆様が医療機器を安全に正しく使えるよう、操作方法を説明する立ち合い業務や、コンサルティング業務なども営業職の仕事です。

医療機器メーカーのやりがい・将来性

ここまでは医療機器メーカー業界についてや、代表的な職種、仕事内容についてご紹介しましたが、最後に医療機器メーカーで働くことのやりがい、そして業界の将来性についてご紹介します。

医療機器メーカーのやりがい

社会貢献度の高さ

医療機器メーカーのやりがいとして最も大きいのが社会貢献度の高さです。

医療機器がなければ、病気が見つけられず症状が重くなってしまう人や、治療ができない人がいますし、逆に医療機器が発展したことにより、新たな治療法も生まれています。

冒頭でも触れたように、医療業界は医者や看護師など病院で働く人のイメージが強いですが、実際には様々な職種の人が裏では関わっており、医療機器メーカーは医者、患者を支える縁の下の力持ち的な存在です。
そのため、間接的に多くの人の健康を支えることによって、高い価値を世の中にもたらしていると言えます。

将来性

景気の影響を受けにくい

医療機器メーカー業界は、景気の影響を受けにくいという特徴があります。
これは、医療機器が人が生きていく上で必要であるため、景気に左右されにくいからです。

実際に医療機器業界の業績推移として、平成17年から現在までずっと増加が続いているというデータもあり、現代の医療技術はほとんどの場面で医療機器を使用している点からも、安定した業界を志望している学生にはお勧めできる業界です。

医療機器需要は拡大する見込み

医療機器業界は安定している業界と上記でお伝えしましたが、今後医療機器の需要はさらに高まっていくとも考えられています。

理由としては、日本では今後も高齢化が進むと予測されているため、特に予防医療が重視されるようになり、診療関連機器の需要が拡大しています。

また、新興国においても人口増加や経済発展に伴い医療水準の向上が期待されており、世界的な医療機器需要も拡大する見込みです。

日本政府も2013年に日本の医療関連機器やサービスを海外に売り込む官民共同の新組織を立ち上げるなど、医療機器の輸出拡大を成長戦略の柱の1つに位置付けているため、国内国外両方の観点からも医療機器需要は拡大すると言えるでしょう。

まとめ

今回は医療機器メーカー業界について、事業の流れや仕事内容、将来性などについてご紹介しました。

医療機器メーカーは理系の学生から根強い人気を誇る業界の1つです。
そして、医療機器についても多くの分野に分かれており、企業によって製造している製品や強みを持っている技術、分野は異なります。

そのため、医療機器メーカーを志望する場合は、業界研究や選考対策は十分に時間をかけて選考に臨むようにしましょう。

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