建築・土木だけじゃない!機械・電気系の学生が活躍できる施工管理職 設備施工管理の仕事内容とは?
理系分野を専攻している学生の就職先の業界として、意外と知られていないのが建設業界です。
建設業界は建築や土木を専攻した学生を採用するイメージが強いかもしれませんが、実は機械や電気、化学などの知識が必要になる職種が存在し、企業側もこのような分野を学んでいる学生を採用したいと考えています。
今回は建築、土木を学んでいる学生からも人気の高い施工管理の職種の中から、機械や電気を学んだ方が活躍できる職種である設備施工管理について、仕事内容や将来性、やりがいなどについてご紹介していきます。
業界や職種を理解することは、自分の選択肢、可能性を広げることにも繋がります。
今まで就職先の業界に建設業界を考えていなかった方も、ぜひ業界研究や、職種の理解に役立ててください。
設備施工管理とは
施工管理とは
まずは今回紹介する施工管理について、どのような職種なのかをご紹介します。
施工管理とは一言で表すと、工事全体に関わるもの全てを管理する仕事です。
仕事の範囲としては、工事現場の施工や、予算、スケジュールの管理、そして工事を進めるうえでの手続きなどの工事全体に関する仕事を担います。
また、現場で働く多くの人々の安全管理や、チームのモチベーションの維持なども仕事の範囲は広く、工事の全体を指揮する責任が大きい職種と言えます。
設備施工管理について
上記では施工管理という職種の概要を説明しましたが、施工管理と一口に言っても、管理する部門は様々で、それぞれ担当分野や、仕事内容が異なります。
この中で、設備施工管理は、空調、電気、給排水、消防施設など建物の設備部分に関わる施工を管理する職種です。
設備工事は電気工事や通信設備の工事など、機械や電気の知識が必要となる部分を担当するため、大学や大学院で機械系や電気系を学んだ学生が建設業界で学んだ知識を活かせ、活躍できる職種となっています。
全体工程におけるの設備工事の位置付け
では、建物を立てるうえ設備系の工事がどの段階で関わってくるか、ここでは着工から建物が完成するまでの工事の流れを簡単に紹介します。
建物を建てる際の大きな流れとしては、
建物が沈んだり、傾いたりしないように基礎・鉄骨を組み立てる基礎工事
↓
柱や梁、床、屋根といった建物の主な構造部分をつくる躯体工事
↓
外壁、防水など、建物の外側部分の工事を行う外装工事
↓
電気や空調、給排水などを整備する設備工事
↓
壁紙やカーペット、照明器具等の内装工事
の順で進められます。
設備系の工事は全体の中でも後の工程になるため、現場が始まってから内装工事が始まるまでの間は比較的他の時期に比べて余裕があり、現場引き渡し前は忙しくなりやすいという特徴があります。
設備施工管理の仕事内容
ここからは設備施工管理の仕事内容について、施工管理職全般に共通する仕事と、設備施工管理職ならではの仕事の2つに分けてご紹介します。
施工管理に共通する仕事
設備施工管理の仕事内容は、「4大管理」といわれる工程管理や安全管理、品質管理、原価管理がメイン業務となります。
ここではそれぞれの業務内容を詳しく見ていきましょう。
工程管理
工程管理は、建設工事において、決められた工期を守るためのスケジュール管理業務です。
工程表を作成し、その工期に遅れないように決められた工期内に作業が完了するよう人員の配置やスケジュールの進捗管理を行います。
管理する工事もさまざまであり、天候や工事中のアクシデントなどで日程変更が必要な場合など、柔軟性も求められる業務であるとも言えるでしょう。
安全管理
次にご紹介するのは、安全管理業務です。
安全管理とは、その名の通り、建設現場で作業をする職人や作業員が安全に作業を行えるように、環境やルールを整える業務です。
具体的な業務内容としては、職人がヘルメットの着用や作業着を正しく身に付けているかの確認や、作業現場の設備や機材の点検、作業員の体調管理などが挙げられます。
品質管理
3つ目にご紹介するのは、品質管理業務です。
品質管理は、設計図書の通りに工事が進んでいるか、構造物が仕様書通り設計図書の品質を満たしているかを確認する業務です。
指定された材料が指定された手順で使用されているか、寸法などに間違いがないかを確認し、強度不足や歪みなど品質が保たれているか、工法ミスや見落としの有無を点検します。
また、中間試験など節目で品質評価対象項目のテスト、完成時の建物全体の強度など、基準や規定を確認する作業も含まれます。
原価管理
最後に紹介する業務が、原価管理です。
原価管理では、決められた予算内で工事ができるよう人件費や材料費など工事にかかる費用を管理します。
現場の費用としては、材料費や建設機械のレンタル料、人件費などが挙げられますが、これらに費用がかかりすぎると、建物を建てても企業に利益は生まれません。
そのため、原価計算を行って、進捗状況と照らし合わせ、発生する経費を把握して予算との差額を算出し、極端な違いがある場合は、修正作業も行います。
設備施工管理職ならではの仕事
続いては、設備系の施工管理職ならではの仕事をご紹介します。
設備施工管理職は、電気設備・配管設備・空調設備・通信設備・機械設備・消防設備の施工にあたり、上記で紹介した4大管理を踏まえて、管理業務を行います。
それでは各設備の施工管理業務の概要をご紹介します。
電気設備
電気設備の施工管理では、電気工事士などの作業員を監督し、電気の引き込み、分電盤やコンセントの配置工事などの管理を行います。
その他にも、管理業務に伴う事務作業や顧客・下請け業者との打ち合わせや、電力会社への申請作業なども業務に含まれます。
電気設備の施工管理業務で活かせる資格には、「電気工事施工管理技士」や「電気工事士」などがありますので興味のある方はぜひこちらの資格についても調べてみましょう。
配管設備
続いて紹介する配管設備の施工管理は、配管技術者などの作業員を監督し、水道管、排水管、ガス管の工事を期限内に完了できるように管理するのが主な業務です。
設備施工管理は新設工事だけでなく、メンテナンス工事を行う機会も多いです。
そのため、新設工事の際は建築物完成後のメンテナンスがしやすいように設計・施工管理を行うことも重要になります。
空調設備
空調設備の施工管理の仕事内容は、空調技術者などの作業員を監督し、エアコンや、換気設備、排煙設備などの工事の監督を行います。
空調は大きく分けると、
・対流式(エアコン)
・放射式(ヒーター)
・伝導式(床暖房)
・換気
の4つに分類され、それぞれ建築物に必要な空調の工事を管理します。
通信設備
通信設備の施工管理では、通信技術者などの作業員を監督し、電話線やネット回線工事の監督を行います。
令和元年からは電気通信工事の施工管理の資格として、電気通信工事施工管理技士の試験が始まりました。
近年では、5Gなどデータ通信の進化とともに、モバイル通信基地局の工事や大型サーバー設置工事、LAN工事などが増加しており、通信設備の仕事は今後も需要が増えると考えられています。
機械設備
機械設備の施工管理の仕事内容は、機械技術者などの作業員を監督し、エレベーターや、エスカレーター、またはプラント工事の監督業務です。
プラントとはいわゆる工場設備一式のことを指します。メーカーの工場や石油化学コンビナートなどがイメージしやすいでしょう。
プラントの施工管理を行う場合は、石油化学工場や無菌室など一般的な建築や土木の建物とは異なり、特殊な設備の工場の施工管理を行うため、よりレベルの高い管理スキルが必要となる仕事です。
消防設備
最後にご紹介するのが消防設備の施工管理です。
消防設備の施工管理では、消防設備技術者などの作業員を監督し、スプリンクラーや消火栓の設置などを期限内に完了できるように管理します。
消火設備や消防設備は人命に関わる設備のため、設置する際に法律にしたがっているかなど設置基準を確認することが重要になります。
まとめ
今回は設備施工管理について、仕事内容を中心にご紹介しました。
機械や電気を学んでいる学生の方にとって、建設業界はあまり馴染みがないかもしれませんが、今まで学んできたことを活かせる職種があることが分かっていただけたかと思います。
今回ご紹介した設備施工管理職のように、建設業界には機械や電気、化学など、一見、建築や土木と関わりがないような分野を専攻している学生が活躍できる職種が存在します。
そのほかの職種や、機械・電気系の学生が建設業界に就職するメリットなどについては、
「機械・電気系の学生が活躍できる建設業界の設計職 設備設計とはどんな職種?」でご紹介しているので、ぜひこちらの記事もご覧ください。
新卒での就活の機会は誰もが一度きりです。
就活の期間に、様々な業界を知ることで、選択肢や比較対象が増えるというメリットもあります。
少しでも興味の持った業界や、職種があればぜひ業界研究や、企業研究を行い、自分の可能性を広げていきましょう!
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